知っておきたい債務整理手続きのポイント
債務整理の手続きについて、知っておきたいポイントを簡単にまとめてみました。
手続きの前に知っておきたい債務整理のポイント
債務整理というのは、弁護士や司法書士などの専門家に依頼して行ってもらうのが一般的です。すべて自分で手続きをすることも不可能ではありませんが、手間や労力、不手際があった際のリスクを考えると、専門家に依頼した方がはるかに割が良いでしょう。
以下は、債務整理を専門家に依頼する前に知っておきたい、基本的な知識のまとめです。
司法書士と弁護士の違い
債務整理の手続きを考えたとき、候補に挙がる相談先は弁護士事務所と司法書士事務所のどちらかになります。しかし、弁護士と司法書士では、案件によって対応できる範囲に差があります。
弁護士は、法律の専門家として強い権限を持っている反面、費用が高め。一方で司法書士は、対応できる範囲は限られるものの、弁護士に依頼するより費用が安く済みます。
それぞれのメリット・デメリットを知って、自身のケースに合った相談先を検討してみてください。
債務整理の費用
債務整理に掛かる費用は、案件の内容や依頼先によってまちまちです。また、弁護士や司法書士は、料金の基準というのが決まっておらず、事務所によって掛かる費用も違ってきます。
そのため、相場については一概には言えないのですが、着手金や成功報酬と言った大まかな内訳は決まっています。
ざっくりとでも内訳を理解しておくと、相談時に支払える金額や、支払い方法の希望などを伝えることができて、話がスムーズに進むはずです。
利息の引き直し計算
利息の引き直し計算とは、今まで支払ってきた利息分が、法定金利に収まるものであったかどうかを確かめるための計算です。債務整理の中でも、もっとも大切な手続きの1つと言えるでしょう。
弁護士や司法書士に相談するときにも、必ず出てくる言葉ですので、どういったものを指すのか、しっかりと理解しておくとよいと思います。
債務整理後の生活の注意点
債務整理の手続きをしたからと言って、大きく生活が変わるわけではありません。
しかし、いくつか制限される事項があります。場合によっては、その制限のために、手続きの前に準備をしておく必要のあるものも。
手続き後の生活の注意点についても、知っておきたいところです。
債務整理と自己破産の違いとは?
債務整理は人生の終わり…と思っている方も少なくありません。しかし、このように思ってる方は自己破産と混同している可能性があります。それぞれについて正しく理解しましょう。
債務整理は代理で行う事は可能?
債務整理を行いたいと思っているけれど、代理人を立てて行うことはできる?という疑問に答えます。
債務整理のメリット・デメリット
債務整理をすれば借金が軽くなる、なくなると考えるとメリットばかりが目立ちますよね。ですが、メリットしかないのであればもっと多くの方が選択しているはずです。ここでは債務整理を検討する前に知っておかなければならないデメリットも含めてご紹介しましょう。
債務整理の流れとは?
債務整理には大きく分けて4つの方法があり、どれを選択するかによって完了までの流れが異なります。まずは自分がどの債務整理の方法を検討しているのかはっきりさせ、流れについてチェックしてみましょう。
弁護士に依頼する場合、弁護士側に確認するのが最もわかりやすいです。個人で行うのに比べると代行してもらえるポイントもたくさんあるので、理解できるまで相談してみてくださいね。各債務整理方法ごとの基本的な流れについてご紹介します。
債務整理ができないケース
債務整理は借金を整理する際に大きな力になってくれる方法ではありますが、利用できないケースもあります。お金に困ったら債務整理をすれば良いと考えるのではなく、本当の最後の手段として考えておきましょう。検討している債務整理の方法がある場合は、自分でも選択できるかチェックしてみてくださいね。
ただ、債務整理には大きく分けると4つの方法があるので、一つ選択できないものがあったとしても他のものも検討してみましょう。
債務整理の種類と手続きの詳細[注1]
特定調停
借金の返済が難しくなったときに利用できる制度のひとつが、特定調停[注2]です。簡易裁判所が債務者と債権者の話し合いを仲裁。利息制限法に沿って元本を見直すなど、返済条件が緩和されるよう支援します。借金総額が過大でなく継続的な収入があれば、個人でも法人でも行うことが可能です。また基本的に債務者本人が手続きをするため、費用を抑えられるという点もメリットでしょう。
特定調停は、簡易裁判所に申し立てると調停期日が決められます。調停では、調停委員が債務者の生活状況あるいは事業状況、返済方法などを聞いたうえで債権者の考えも聴取。返済計画が当事者双方にとって法的・経済的に合理的かつ妥当なものとなるよう調整します。
この手続きが成立するためには、債務者と債権者双方が調停委員の示す返済計画に合意することが必要です。なかには調停に協力的でない債権者もいたり、簡易裁判所ごとに基準が違っていたりするため、調停が成立するまでの遅延損害金や調停成立後の利息を払わなければならないといったことも起こり得ます。
個人再生手続
個人再生手続[注3]には、小規模個人再生手続と給与所得者等再生手続の2種類があります。どちらも債務者が裁判所に申し立てを行い、債務を減らしてもらう手続きのことです。債務者は借金を分割して返済する計画を裁判所に提出。それを債権者や裁判所が認めれば、その計画に沿って返済することになります。
個人再生手続を行うための条件としては、「自己破産に近い経済状況にある」「住宅ローンを除いた負債額が5000万円以下である」「継続的な返済を保証する収入がある」などです。手続きが認可されると原則として債務が5分の1程度に減額され、3~5年ほどかけてその債務額を返済することになります。
つまり個人再生には、借金の大幅な減額が見込める、住宅や車などの財産を手放さずに済む可能性があるといったメリットがあるのです。また、保証人でない限り家族へ与える影響も抑えることができます。とはいえ、その後5~10年ほどは借り入れができない、国が発行する官報に住所・氏名が掲載されるなどのデメリットもあります。
自己破産手続
裁判所に「破産申立書」を提出することで債務を免除してもらうのが、自己破産手続[注4]です。裁判所から「免責許可」をもらうことができれば、税金などを除いたすべての債務の返済が免除されます。この自己破産を申し立てることができるのは、支払い不能に陥った場合で、債権者の収入や資産、負債額などから総合的に判断されます。
この手続きでは、債務者の所有する財産は換金して債権者に配当します。これにより残った債務は支払う必要はありません。また、自己破産したとしても、一定の基準以下の財産(20万円以下の預金など)は手元に残ります。保証人でない限り、家族への影響も抑えることも自己破産手続の特徴です。
自己破産すると、今後約5~10年借り入れができない、住所・氏名が国の発行する官報に載せられる、などのデメリットもあります。また、破産理由が浪費やギャンブル、詐欺行為などだった場合、原則として「免責許可」は受けられません。
弁護士やボランティア団体を名乗った電話勧誘に注意
全国の消費者生活センターによると、残念なことに近年、多重債務を抱えてしまう人は増加の一途をたどっています。[注5]それにともない、この状況を悪用する犯罪も発生しており、債務者はこれ以上のトラブルに見舞われないよう注意が必要です。
犯罪の手口としては、弁護士やボランティア団体などを名乗り、債務整理や過払い金返還請求について電話勧誘を行い、着手金を要求するというものです。債務者の弱みにつけ込み、弁護士やNPO法人などの社会的信頼性を利用した極めて悪質なものと言えるでしょう。
債務整理を考えている人は、こうした信ぴょう性の薄い電話勧誘はきっぱりと断り、顔が見えて信頼できる弁護士などに相談するようにしてください。