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自己破産

究極の債務整理である、自己破産について解説しています。借金がなくなるというメリットには、小さくないデメリットも付きまといます。

自己破産とは

自己破産とは、裁判所に破産を申し立てることで、借金全額を免除してもらうという手続きです。自己破産は、財産や収入の状況などから、将来的な返済が不可能であると裁判所に判断されることで認められます。

『借金がなくなる』というのは大きなメリットですが、一方で、財産だったり社会的信用だったり、失うものも少なくありません。

自己破産のメリット

自己破産のメリットとしてもっとも大きいのは、借金がなくなることです。また、自己破産の手続き中は、差し押さえ等の取り立てがストップすることも、利点と言えるでしょう。

その他、自己破産をしてもある程度の資金(20万円以下)は、手元に残すことができます。経済的にまったくのゼロになってしまうわけではない、というのもメリットと言えるでしょう。

自己破産のデメリット

デメリットとしては、住所と氏名が官報(政府の機関紙)に掲載されてしまうこと。また、最短でも5年以上は、借り入れやクレジットカードの作成ができないことなどが挙げられます。

破産すると制限されてしまうもの

破産をしてしまうと、その後の生活が心配になりますよね。破産をすると、生活の中で制限されてしまうこと・ものがいくつかあります。

クレジットカードの利用ができない

自己破産により、個人信用情報機関のブラックリストに名前が登録されてしまいます。登録はずっと続くわけではないのですが、最低でも5年から7年ほどはブラックリストに登録されたままです。その間はクレジットカードを利用することができなくなり、新しく発行を申請しても断られてしまいます。

ローンが組めない

こちらもクレジットカードと同じで、ブラックリストに登録されている間はローンを組むことはできません。住宅ローンや車のローンなど様々ありますが、どれも難しいと考えておきましょう。ローンを許可する側も、ちゃんと返済してくれることを信じて許可しています。しかし、一度自己破産をしているとなれば、返済してもらえるかどうかわからない…ということになり、許可が下りません。

職業が制限される

自己破産をしてから免責許可の決定を確定させるまでの期間、就けない職業があります。弁護士や行政書士などを含む士業と呼ばれる仕事、質屋、生命保険外交員、警備員、宅地建物取引主任者などです。

こういったことが、自己破産によって制限されてしまいます。いずれも一生続くというわけではありませんし、時間がたてば普通に生活もできるようになります。しかし、一時的にでも生活に制限が出てしまうということを考えておきましょう。

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自己破産の手続きの流れ

自己破産の手続きの流れは、以下の通りです。

  1. 相談…弁護士・司法書士に自己破産の相談をします。
  2. 受任通知…弁護士・司法書士から、借金をしている金融会社に受任通知と債権調査協力の依頼が送られます。通知が到着以降、取り立てがストップされます。
  3. 必要書類の準備…自己破産の申し立てに必要な書類を用意します。
  4. 自己破産の申立…裁判所に書類を提出します。
  5. 免責決定…裁判所に申し立てが認められると、借金の返済義務がなくなります。

自己破産に掛かる費用・期間

自己破産の費用は、案件や依頼する司法書士事務所・弁護士事務所により異なります。だいたい20万~60万円ほどは見ておくとよいでしょう。

期間については、ほかの債務整理と同じく、最短で3ヶ月、長くても半年くらいです。

個々のケースで必要な費用や対応などが違ってくるため、とにかくまずは専門家に相談して、方針を固めることが大切です。

自己破産手続きの種類

自己破産の手続きには、「破産管財」と「同時廃止」の2種類があります。どういった違いがあるのか、まずはそれらの違いの説明からご紹介します。

破産手続とは,自分の財産や収入だけでは債務(借金)の全額を支払うことができなくなった場合(これを「支払不能」といいます。)に,破産管財人と呼ばれる弁護士が,債務者の財産を他人に売ったりするなどして金銭に換えた上で(これを「換価」といいます。),その金銭を債権者全員に公平に支払い(これを「配当」といいます。),債務(借金)を清算する手続です。このように,破産管財人を選んで手続を進める場合を,「管財型の破産手続」といい,破産管財人が選ばれる事件を「管財事件」といいます。

こちらが、「破産管財」と呼ばれる自己破産になります。一方で、「同時廃止」は以下の通りです。

債務者の財産が少なく,破産管財人を選んで財産を金銭に換えても,破産手続を進めていく上で必要な費用(破産管財人の報酬など)を払うことすらできないと予想される場合には,裁判所は,破産手続を開始するという決定をしても,破産管財人を選ばずに,直ちにその手続を終わらせる決定をします。このように,破産手続の開始と同時に手続を終了(廃止)する場合を「同時廃止型の破産手続」といい,同時廃止となる破産事件を「同時廃止事件」といいます。

この2つの違いとして大きいのは、財産の価値ですね。同時廃止をする場合は、だいたい20万円ほどを目安として、それよりも少ない場合がほとんどです。それ以上になると、破産管財人を選んで自己破産をする、ということになります。ただし、もう1つ大事なポイントが。借金を抱えた理由に問題がないかどうか、です。財産が20万円未満であっても、借金を抱えた理由に問題があった場合は、破産管財の扱いとなり管財事件となります。問題というのは、ギャンブルによってできてしまった借金により破産をすることになっただとか、特定の債権者にだけ支払いをした結果の破産だとか…様々な理由があります。こういった理由があると、いろいろと調査をする必要があるため、管財事件として扱われるでしょう。

自己破産を自分で手続きするメリット・デメリット

法律事務所などに相談せず、自己破産を自分で行うことは可能なのでしょうか?自己破産を自分で行う際のメリット・デメリット、費用感やトラブル事例も紹介します。

メリット

自己破産を自分ですると、余計な費用は一切かかりません。借金が返済できなくて困っているときに、自己破産をするためにお金を支払うのはちょっと、と考える人も多いでしょう。

少しでも自分の手元にお金を残しておきたい、と思うからです。自己破産を自分ですると、誰かに依頼してやってもらう分の手間賃がかからなくなるという点がメリットです。

デメリット

自分でやろうと思うと、知識を身につけなくてはいけません。何とかなるだろう、と思ってやり始めてからなかなか進まなくて結局法律事務所に相談する、なんて人も。

書類も細かなところまでちゃんと記載しなくてはならず、何度も書き直しになる可能性があります。自分で自己破産をしようと思うと時間がかかるでしょう。

また、債権者と直接交渉しなくてはなりません。どんなことを言われてしまうかわからないので、それに対してちゃんと対応できる能力が必要です。場合によっては、過払い金を隠す債権者もいるかもしれませんよね。

せっかく借りている側に戻ってくるお金があるのに、それを受け取れないなんてことになってしまいます。債権者との交渉はコツが必要で、自分自身では難しいことも多いです。知識がない人がやろうとすると失敗する可能性がある、という点もデメリットになります。

自己破産を法律事務所に依頼するメリット・デメリット

メリット

法律事務所に依頼すると、まずすぐに取り立てを止めることができます。脅迫に近い取り立てに悩んでいた場合でも、債務者に債務整理をしますという受任通知を送ると、債権者からの取り立てはなくなります。

今まで取り立てが辛かった人も、少し気持ちを落ち着けて生活ができますね。さらに、申し立てをした17時には手続きが開始されます。これは、弁護士が作成している書類は信頼できるものだと認められるためです。

自分で手続きをした場合は数か月、中には数年かかることも。でも、弁護士であれば免責許可もおりやすく、1か月ほどで決定されるでしょう。自分でやるよりも負担が少ないという点がメリットです。

デメリット

自己破産手続を自分でする場合のメリットがそのままデメリットになりますね。法律事務所が無料でやってくれるわけではなく、費用が発生します。

大きく分けると、着手金と成功報酬、残りは裁判所の手続きで必要な費用を実費で、となっています。総額で50万円ぐらいはかかってきてしまうため、その分のお金は最低限必要です。

自分でやると、費用は本当に節約できる?

弁護士に依頼したら、楽は楽だけどお金がかかってしまいます。その費用を少しでも節約したいとあれば、やはり自分でやることを考えますよね。では、本当に自分でやると費用が節約できるのでしょうか?

確かに、弁護士に依頼する費用はかからなくなります。申立書に貼り付ける必要がある印紙代や連絡用の切手代、官報に掲載する予納金さえ納めればOKなので、総額で2万円ぐらいになります。

しかし、実は落とし穴が。裁判所が手続きを迅速化させるために、破産管財人を選任させることがあります。破産管財人は、弁護士などの専門家が選ばれることがほとんどで、裁判所が選任することになっています。

裁判所が選任したとはいえ、その費用を払うのは破産をする側。結局自分で弁護士に依頼しなくても、破産管財人が選ばれてしまえばその人に支払う費用を負担しなければならないのです。

せっかく節約のためにと自分でやりはじめても、最終的に費用が節約できないこともあるでしょう。ただし、破産管財人は必ず選任されるわけではありません。

裁判所への書類に全く不備がないとか、財産調査なども必要ないと認められればいいのですが、個人での破産手続きではそこまでちゃんとした書類を提出するのは難しいでしょう。それであれば、最初から弁護士に依頼してもらったほうが楽ですし、スムーズです。

自己破産でこんなトラブルも

時間ばかりかかってしまう

自己破産を自分でやろうと思い、いろいろとやっているうちに数か月経過…という人はとても多いです。少しでも早く借金の辛さから逃れたいと思って行動しても、裁判所への申立書を作成するためには想像以上に時間がかかります。

数か月ならまだしも、数年かかることもあるでしょう。それであれば、お金はかかってもプロに頼んでしまったほうが早く借金の辛さから逃れられます。

官報に掲載されてバレた!

自己破産をすると、必ず官報に掲載されます。しかし、これを知らない人も多いです。知らなかった、破産手続きなんかしないほうがよかった、となってしまうことも。官報とは、国が発行している広報誌で、破産者の情報が掲載されます。

個人の氏名や住所まで掲載されるのですが、これは債権者に向けたもの。この人が破産手続きをしましたよ、というお知らせのようなものです。誰でも閲覧できるので、周囲に内緒で破産手続きをしたのにバレてしまった、というリスクもゼロではありません。

自己破産に関するFAQ

小額でもできる?

借金が少額であっても、人によって借金返済が苦しい事情は異なります。多額ではなくても、支払いが辛くて支払い不能と認められれば、自己破産ができます。

無職(主婦や年金生活者)でもOK?

無職だからといって、自己破産ができないわけではありません。ただし、何らかの収入がないと、自己破産後の生活をしていくこともできないですよね。生活保護の申請などをして、収入を確保する必要があります。

年金に影響は無い?

自己破産をしても、公的年金の受給資格はそのまま。年金をもらっている人も、差し押さえの対象になることはありません。もちろん、ちゃんと支払いをしていなければいけないので、年金を支払うことは前提としたお話しです。

生命保険は解約必須?

生命保険が財産とされるのは、20万円以上の解約返戻金がある場合のみです。ただし、解約は必須ではありません。20万円以上戻ってこないものであれば、そのまま加入していられます。

住んでる場所は追い出されない?

破産法が改正されたことで、追い出されることはなくなりました。ただ、家賃を未払いのままで住んでいる、という場合は別です。ちゃんと家賃を支払っていれば追い出されることはないので安心してください。

名古屋地裁で自己破産を考えている方へ

自己破産手続きをはじめる前にまず知っておかなければならないのは、自己破産の申立てをしたからといって、必ず認められるわけではないということ。自己破産に相当する主張ができなかったり、証拠が不十分であったりすれば、裁判所に申立てを棄却される場合もあります。

また、申立てが認められた場合も債務が免責されるとは限らない、ということを理解しておきましょう。

裁判所は、あくまで中立な立場で自己破産の手続きについて説明してくれるだけです。債務者に的確なアドバイスをおくったり、最善策の相談をうけたりすることはありません(できません)ので、そのことを肝に銘じたうえで自己破産手続きに進んでください。

自己破産手続きのサポートや、申立て・免責が認められるための助言などは、弁護士などに相談するのが一般的です。

債務整理には個人再生や特定調停、任意整理などの方法もあり、自己破産も含めてそれぞれを検討し、もっとも無理なく整理できる方法を選ぶことを、はじめに考えましょう。

自己破産による生活の制限

所有する財産をすべて処分し、それを債権者へ分担・配分する自己破産手続き。ですが、自己破産をするには相応の制約をともないます。そのひとつが、生活の制限。

自己破産手続きの開始が決定すると同時に、いくつか制限をうけますが、職業選択の自由も制限され、弁護士や税理士、保険募集員になることはできません。また、意外なところでは警備員にもなれませんし、後見人になることもできなくなります。

破産管財人が選任されると、さらに制限は厳しいものに。

破産管財人に財産状況などの説明義務が発生するほか、裁判所の許可なければ引っ越しや長期間の旅行ができないなどの居住制限をうけたり、破産管財人に郵便物・配達物が転送されたりする場合もあります。

破産管財人が選任されるのは、債務者が財産を保有しているケース。例外として、破産管財人を選任しない例外としては、破産手続開始と同時に破産手続を廃止したうえで、免責手続の判断で裁判所が認めた場合です。

免責手続について

上記でうける生活の制限は、自己破産手続き開始にともなって発生するもので、まだ負債の免除が決まったわけではありません。債務を免責されるかは自己破産手続きの開始をうけて、裁判所が判断します。これを免責手続きといいます。

要するに免責手続きとは、自己破産手続きが財産の処分・分配なのに対し、借金の返済を免除してもらうための手続きだと考えていいでしょう。

免責手続きの結果、ときには免責が不認可されることも。とくに、次のようなケースでは免責が認められないことが多いようです。

破産の原因がギャンブルや遊興・浪費だったとき。債権者に支払い能力がないように偽ったとき。手続き時にウソの記載や説明したとき。財産の隠匿や資産価値を減少させる行為をしたとき、などなど。

過去7年にさかのぼって免責許可決定をうけたことがある場合も、免責が認められないことがあるでしょう。

こうした免責が認められない要因を、免責不許可事由といいます。なかには、免責不許可事由にあてはまる行為があっても、それが軽微なものであれば、裁判所の裁量で免責されることも。

したがって、免責不許可事由は絶対ではありませんが、心当たりのある人は免責されない可能性も心構えておいてください。

免責手続きは破産手続き開始の申立てをすると、同時に申立てしたものとして処理されます。ですから、別途、債務者が免責手続きを申立は不要です。

なお、免責手続きで免責が認められれば(つまり自己破産すると)社会的信用がなくなり、あらたに借入れができなくなる、と思われていませんか?

しかし、実際は借入れられるか、保証人になれるかは金融機関の意思しだい。法的な制約・制限はありません。

名古屋地裁の管轄

愛知県内で破産手続開始の申立てをするには、名古屋地裁本庁、もしくは支部へ申立書を提出します。

提出先は居住地で決まっていますが、これは住民票の住所ではなく、実際に申立人が住んでいる住所となりますので、注意してください。

たとえば、住民票は名古屋市にあるものの、現在住んでいるのが豊田市であれば名古屋地裁岡崎支部への提出となります。

下記に本庁と各支部の管轄をまとめていますので、ご参照ください。

裁判所 管轄区域
名古屋地裁(本庁) 名古屋市、春日井市、豊明市、小牧市、瀬戸市、尾張旭市、日進市、清須市、北名古屋市、長久手市、津島市、愛西市、弥富市、あま市、大府市、半田市、常滑市、東海市、知多市、西春日井郡、愛知郡、海部郡、知多郡
名古屋地裁一宮支部 一宮市、犬山市、稲沢市、江南市、岩倉市、丹羽郡
名古屋地裁半田支部 半田市、東海市、知多市、大府市、常滑市、知多郡
※名古屋地裁半田支部管轄地域の破産手続は本庁で取りあつかい。
名古屋地裁岡崎支部 岡崎市、豊田市、安城市、刈谷市、知立市、西尾市、碧南市、高浜市、みよし市、額田郡
名古屋地裁豊橋支部 豊橋市、豊川市、蒲郡市、田原市、新城市、北設楽郡